3月のライオンの意味とは何か?桐山零と宗谷冬司と将棋の神様

3月のライオン。

初めて、この言葉を耳にしたとき
「いったいどういう意味なんだろう?」と思いました。

そのあと、3月のライオンというのは、あるマンガのタイトルで、
そのマンガというのは将棋を題材にしたものであることを知りました。

作者は「ハチミツとクローバー」も書かれている羽海野チカ先生。

羽海野チカ先生の書かれる絵というのは、とても可愛らしてく、
そして愛らしさを感じますよね。

私はマンガも将棋も大好きです。
羽海野チカ先生のこと、「ハチクロ」のことは知っていましたが、
羽海野先生のマンガを読んだことはありませんでした。

でも、3月のライオンが将棋をテーマにしたものであるとなったら
読まないわけにはいきません。

という経緯で、私は3月のライオンを1巻から始まり、
現在発売されている10巻まで全部読みました。

もうメチャクチャ面白いですよね。
内容も面白いし、登場人物も魅力的だし。

3月のライオンに関しては話したいことが山ほどあります。

ですがその前に「3月のライオン」に込められた本当の意味を、
おそらく日本中の誰よりも詳しく説明させて頂きたいと思います。

その自信があります。

よっかたら聞いてあげてくださると嬉しいです。

スポンサーリンク

●「3月のライオン」って、どういう意味?

私はマンガも将棋も大好きです。
ですが、初めは3月のライオンという言葉と将棋が結びつきませんでした。

でも、そのあとに何かで説明を読んで納得がいきました。

羽海野チカ先生の作品のファンの方は、3月のライオンで
初めて将棋に接する方も多いかと思います。

「将棋という言葉は知っているけどルールは知らない」

そんな方がほとんどだと思います。

私は羽海野チカ先生のマンガに関しては、3月のライオン
だけしか読んだことがないので、他の作品については知りません。
でも将棋に関しては、実力はともかくとして大好きです。

なので「3月のライオン」を愛するあなたに、
同じく「3月のライオン」を愛していて、なおかつ将棋を愛する私が、
2つをつなぐ橋渡しをさせていただければいいな
と思っています。

さて「3月のライオン」の意味についてです。

もしかしたら、あなたもその意味について知っていらっしゃるかもしれませんね。
でももっと詳しく知ることで、3月のライオンがもっと面白く読める
ようになるかもしれませんので、よかったら聞いてください。

「3月」と「将棋」。

これは実は密接な関係があります。

将棋のプロ、将棋を職業にする者にとっては、3月というのは
毎年、一年の中で一番重要な時期とも言えます。

まず将棋指しというのは、将棋を職業にしています。
将棋を指して、お金、給料を貰っています。

そんな将棋指しですが、給料の金額は高い人も低い人もいます。
その給料はどうやってきまるのか?

それが将棋指しが1年かけて行う「順位戦」と呼ばれる
将棋の棋戦の成績で決まります。

この順位戦を簡単に説明すると
「将棋の棋士のランキングと給料を決めるためのもの」
ということになります。

勝負の世界ですから、年齢は関係ありません。

強ければ若くてもランキングを上げることができます。
強ければ若くても高い給料を貰うことができます。

弱ければ年上でもランキングは下がります。
弱ければ年上でも給料は安くなります。

野球もサッカーもプロの世界は実力主義ですが、
それは将棋の世界も同じなのです。

そんな「順位戦」は1年をかけて行われるのですが、
その最期の対局が「3月」なのです。

順位戦には5つのクラスがあります。
上から順番に

・A級
・B級1組
・B級2組
・C級1組
・C級2組

とクラスが分かれています。

A級の上には「名人」という将棋界最大のタイトルがあって、
将棋棋士はみんな「名人」を目指しているのです。

順位戦の1年の中で最期の対局が行われる3月。

実は「ライオン」ではない将棋棋士もいます。
それは既に上のクラスにも上がれない、
下のクラスにも落ちないことが決まっている棋士です。

これは正しい表現ではないかもしれません。
将棋指しはどんな対局でも真剣です。

ですが、来年も今と同じクラスで将棋を指すことが
確定している棋士が「ライオン」になることは、
とても難しいことだと思うのです。

では「ライオン」とは何なのでしょう?
「ライオンになる」とはどういうことなのでしょう?

スポンサーリンク

●桐山零くんと、お父さんで例えてみました

桐山くんのお父さん、正確には実のお父さんではありませんが、
話を分かりやすくするために、ここではお父さんとさせてください。
マンガの中では桐山くんの将棋の師匠でもあります。

3月のライオン9巻のChapter88「春が来る」の中で、
お父さんのこんなセリフがあります。

「今日勝って なんとかギリギリ降級点はまぬがれた
来期もB2でやれそうだ
前回の続きができるかもな 零」

お父さんはこんなこと桐山くんに言っています。
このセリフの意味を解決さて頂きます。

3月のライオンの9巻の時点で、時代を2015年としますね。
そうなるとこんな感じになります。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
2015年3月 順位戦 最終局前の時点

・名人……宗谷冬司

・A級
・B級1組
B級2組……お父さん+20数名の棋士
C級1組……桐山零+30数名の棋士
・C級2組

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
2015年4月からの順位戦

・名人……宗谷冬司

・A級
・B級1組
B級2組……桐山零+お父さん+20数名の将棋棋士
・C級1組
・C級2組

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
桐山零くんの場合は最終局前の時点で、来年上のクラスに
上がることが決まっていた可能性があります。

でも桐山零くんは、ひなちゃんの受験のこともあって
絶対に負けられないと思っていたので、「ライオン」だったかもしれません。

でも本当に「ライオン」だったのは、桐山くんのお父さんだったと思うのです。

なぜかといいますと、お父さんはもし最終局に負けていたら
下のクラスに落ちていたからです。

お父さんの場合は、もちろん給料や生活のこともあると思うのですが、
最終局に勝ちたかった理由は、来期、零くんと順位戦で将棋を
一緒に指したかったからなのではないでしょうか?

綺麗ごとはいいません。
お父さんが最終局に勝ちたかった理由は2つあると思います。

1つ目は、経済的に家族を支えるため、給料を下げられるわけにはいかない。

2つ目は、零くんと絶対に将棋を指したかったから。

もし、お父さんが3月の最終局に負けていたら、下のクラスに落ちていました。
そうなると来期の順位戦は、以下のようになっていました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【お父さんが負けていた場合】

2015年4月からの順位戦

・名人……宗谷冬司

・A級
・B級1組
B級2組……桐山零+20数名の棋士
C級1組……お父さん+30数名の棋士
・C級2組

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

こうなってしまうと、お父さんは零くんと順位戦で
将棋を指すことができなくなってしまうのです。

お父さんは何としても、順位戦で零くんと将棋を指したかった。

マンガの中ではお父さんの3月の最終局の姿は描かれていませんが、
その裏側で、お父さんは勝つために死に物狂いになっていたのです。

そうです。


「死に物狂いになって将棋を指す、将棋棋士の姿」

丨丨

「死に物狂いになって獲物を仕留めようとする、ライオンの姿」

将棋棋士が死に物狂いになって将棋を指すのは「3月」です。
3月は自分の人生をかけて戦う月なのです。

その対局に勝つか負けるかで、人生が大きく変わってきます。
だから負けるわけにはいかない、勝たないといけない。

例えどんな相手であっても。

だから「3月のライオン」なのです。

●零くんのお父さんが「3月のライオン」になった本当の理由

最終局でライオンになって将棋を勝ったお父さん。
それは来期、順位戦で零くんと将棋を指したかったから。

でも本当の理由はもっと深いところにあります。

なぜなら将棋には順位戦以外にも戦う場所はたくさんあります。
お互いに勝ち進む必要はあるのですが、零くんとお父さんが
対戦する可能性は充分にあるのです。

ですから、単に対局するだけなら、順位戦にこだわる必要はありません。
でも、お父さんは順位戦にこだわった。

それはなぜでしょうか?

●「3月のライオン」と「将棋の神様」

零くんのお父さん。

昔はトップレベルの将棋棋士でしたが、今はその実力が落ちてきています。
なんとか今のクラスにとどまっている状態です。
少なくともマンガの中では、そのように描かれていると思います。

年齢的にも、これから先、上のクラスに上がることはないでしょう。

それとは対照的に零くんはどうでしょう。
零くんはまだ10代で、天才と呼ばれています。
これから先、どんどん上のクラスに上がっていくでしょう。

下がっていく、お父さん。
上がっていく、零くん。

そんな二人が順位戦で戦う可能性があるのは1度だけなのです。
それが、お父さんが3月の対局で死に物狂いで勝ち取った「来期の可能性」なのです。

なぜ「可能性」なのでしょう。

それは順位戦というのはA級とB級1組は、総当りで全員と対局するのですが、
B級2組以下は、人数が多いこともあって、対局相手が抽選で決まるのです。

なので、来期、零くんとお父さんは対戦しない可能性もあります。
B級2組の棋士は20数名。順位戦の1年の対局数は10局。
ですから2人が対戦する可能性は50%くらいになります。

それでも、お父さんはその50%の可能性を信じて、
3月のライオンになって、最終局を勝った
のです。

順位戦というのは、将棋棋士が将棋棋士であり続けるためには
絶対に勝たないといけない場所です。

極端な例ですが、他の棋戦では全然勝てなくても、順位戦だけ
ある一定の成績をとり続ければ、将棋棋士であることはできます。

でも順位戦での成績が悪いと、最終的には引退に追い込まれることになります。
そう、将棋棋士ではなくなってしまいます。

将棋棋士というのは、小さい頃から将棋に全てをかけてきています。
早い人であれば5歳くらいから将棋をしています。

将棋のプロになるのは極めて難しいことです。
地元では天才と呼ばれていても、プロを争うのはそんな
地元の天才たちの集まりです。

天才の中から、更なる天才だけが将棋のプロになれる。

そのために全ての棋士は、人生の全てを将棋にささげています。
順位戦で負けるということは、人生を捧げた将棋を指せなくなる
可能性が高まるということと同じなのです。

将棋棋士にとって、順位戦というのは、人生をかけた戦いなのです。
その人生をかけた対局が3月にあります。
だから棋士は「3月のライオン」になるのです。

零くんにとってお父さんは、育ての親であり、将棋の師匠です。

もし来期の順位戦で零くんとお父さんが対局するということは、
零くんにとっては、お父さんを将棋棋士から引退に追い込む
可能性のある戦いでもあります。

零くんも人生の全てを将棋に捧げてきましたが、それはお父さんも同じです。
零くんはお父さんを尊敬していますが、全力で勝たないといけないのです。

お父さんは、今の自分では零くんに勝つ可能性が低いことを知っています。
今、零くんとお父さんが戦ったら、おそらく零くんが勝つでしょう。

それでも、お父さんは「零くん」と「順位戦」で、
お互いが「ライオン」と「ライオン」になって戦わないといけない理由があったのです。

零くんがお父さんと順位戦で対局することになったら、
零くんは頭の中では分かっていても「お父さんに本当に勝っていいのか」
という迷いが生まれてきます。

両親を亡くした自分を育ててくれて、将棋を教えてくれたお父さん。
分かってはいても、勝負に徹することは難しい。

お父さんは、そんな零くんの優しさを知っています。
そして同時にお父さんは、そんな零くんの勝負師としての「甘さ」も知っています。

そんな強くて優しくて甘い零くんに「本当の将棋指し」になる覚悟を与えられる
対局が、これからマンガの中で描かれるであろう、来期の零くんとお父さん
の将棋なのです。

それは、なぜか?

それは、零くんには時間がないからです。
なぜ、まだ10代の零くんに時間がないのか?

それは、宗谷名人に関係があります。

もっといいますと、宗谷名人の「耳」に関係があります。

お父さんは、おそらく宗谷名人の耳のことは知りません。
ですが、宗谷名人とはいえ、その実力が永遠に続くわけで
はないことは知っています。

お父さんは零くんの将棋の才能を一番知っています。
自分の本当の子供ではなく、零くんの才能を見つけ、
零くんに将棋を教えたからです。

一番知っているお父さんだからこそ、零くんの「甘さ」も心配している。

零くんほどの才能ですから、例え甘さがあったとしても、
時間はかかったとしても、名人に挑戦できるでしょう。
名人にも、おそらくなれるでしょう。

でもただ名人になっても意味はありません。
たとえ宗谷名人に勝ったとしても、それは「ただの名人」
になったにすぎません。

「真の名人」になるには、「今の宗谷名人」に勝たないといけないのです。

宗谷名人の耳の病気は徐々に悪くなっています。
いつかは聞こえなくなってしまうでしょう。
ただ、今は聞こえています。

いくら宗谷名人とはいえ、耳が全く聞こえなくなってしまうと
将棋指しとしての才能を発揮することは難しくなります。
天才ではいられなくなってしまうのです。

では、いったい宗谷名人の耳はいつまで聞こえるのか?

それは、

零くんが立ち止まることなく名人戦の舞台に辿り着くまで

だと思うのです。

お父さんは、宗谷名人の耳のことは知りませんが、彼が真の天才であることは知っています。

お父さんは、零くんが天才であることは知っていますが、
まだ「真の天才」が開花していないことも知っています。

零くんが真の天才になるには、本当の将棋指しとしての人生を
かけた対局をし、それに勝つ必要があるのです。
それが、零くんとお父さんの順位戦の対局なのです。

零くんはお父さんとの対局で、迷いを断ち切って、全力で叩き潰す
ことで、真の天才になれるのです。

そんな対局に勝利することが、将棋の神様に愛された桐山くんの使命なのです。

●「6月のライオン」宗谷冬司名人 対 桐山零

桐山零くんや他の棋士にとっては、ライオンになるのは3月ですが、
宗谷名人がライオンになるのは6月です。
それは、宗谷名人は順位戦を指さないからです。

名人戦というのは、7番勝負です。
将棋を7局指して、先に4勝したほうが名人になります。

その名人戦の6局、そして最終局の7局があるのが6月です。
なので、宗谷名人がライオンになるのは6月なのです。

とはいえ、今の宗谷名人はあまりにも強すぎてライオン
にはなれていなかもしれません。

宗谷名人が「6月のライオン」になれる相手は、
桐山零、ただ一人だけ
なのかもしれません。

零くんは宗谷名人の耳のことを知っています。

宗谷名人には時間がない。
だとすれば、自分は一気に駆け上がるしかない。

自分は順位戦をノンストップで勝ち上がる。
そして宗谷名人との名人戦の相手になる。

だから、お願いだから、どうか将棋の神様、
その日まで、宗谷名人の聴力を奪わないであげてください。
強くてとてもかなわないと思わせてくれた宗谷名人でいさせてください。

もしかすると、零くんはいつか、そんなことを思うかもしれません。

「3月のライオン」は、隠れたテーマとして
「時間」があるのではないかと思います。

零くんと、お父さん。
零くんと、宗谷名人。

彼らとの将棋の対局、それは2つの棋士の人生が交わる一瞬の時間。

零くんと、あかりさん。
零くんと、モモちゃん。
零くんと、ひなちゃん。

そして、

零くんと、将棋。

3月のライオンには、そんな愛すべき人間たちの、愛すべき人生が、
羽海野チカ先生のたっぷりの愛情で描かれています。

3月のライオンに出会えて、私はとても幸せです。

スポンサーリンク